同じ材料、同じ調味料で作っても、店で食べたものと家で作ったものは味が違う。
その差の大きな部分が焼き色だと思います。こんがりした色と、あの香ばしい匂い。あれは味ではなく焼くことで生まれた別の何かです。
焼き色は「調味料では出せない味」
肉を焼いたときの香ばしさ、パンの耳の香り、餃子の焼き目、玉ねぎを炒めたときの甘い匂い。
これらは材料にもともと入っていた味ではありません。焼いている途中で、新しく生まれています。
だから調味料をどれだけ足しても再現できません。逆に言えば、焼き色さえちゃんとつけば、味付けは薄くても満足できる一品になります。
焼き色がつく3つの条件
| 条件 | 足りないと |
| ① 温度が十分に高い | 色がつかず、ただ蒸されるだけ |
| ② 表面が乾いている | 水分がある間は色がつきません |
| ③ 動かさない | 触るたびに温度が下がってやり直しになります |
★この3つのうち、家でいちばん多く失敗するのは②です。
焼き色がつかない、いちばんの原因は「水」
肉や魚の表面に水気がついていると、その水が蒸発しきるまで、温度は上がりません。フライパンの中で蒸されている状態になって、いつまでも白いままです。
やることはひとつ。焼く前に、キッチンペーパーで水気を拭く。これだけで結果が変わります。
- 肉・魚……パックから出したら必ず拭く。ドリップが出ているものは特に
- 冷凍もの……解凍したら水気を拭く。凍ったまま焼くなら、霜を落とす
- 野菜……洗ったら水を切る。ざるに上げただけでは足りません
動かさない
フライパンに入れたあと、気になって何度もひっくり返してしまう——これが2番目に多い失敗です。
触るたびに、接している面の温度が下がります。焼き色は「一定の温度で、一定の時間触れ続ける」ことでつくので、動かすとやり直しになります。
★目安は「勝手にはがれるまで待つ」。焼き色がちゃんとついた面は、フライパンから自然に離れます。くっついて動かないなら、まだ早いということです。
うちのじゃがいもと豚ひきのチーズガレットや合い挽き肉の焼き餃子は、まさにこれを守るかどうかで仕上がりが変わります。
入れすぎない
フライパンいっぱいに材料を入れると、一気に温度が下がり、材料から出た水分の逃げ場もなくなります。結果、蒸し焼きになって色がつきません。
フライパンの底が見える程度を目安に。2回に分けたほうが早く終わります。
焦げとの境目
焼き色は、行き過ぎると焦げになります。そして焦げの苦味だけは、あとから直せません。
- 砂糖・みりん・はちみつが入ったタレは焦げやすい……絡めるのは最後。火を弱めて
- 薄いものは一瞬……春巻きの皮チップスのように薄いものは、数十秒で色が動きます
- 「まだ薄いかな」で止める……火から下ろしたあとも、余熱で少し濃くなります
こうなっちゃうときは
- 白いまま色がつかない……水気です。拭いてください
- べちゃっとして蒸し焼きになる……入れすぎです。2回に分けて
- くっついて剥がれない……まだ早いです。焼けたら自然に離れます
- タレが焦げる……甘いタレは最後に。火を弱めてから絡める
- 焦げた……焦げた部分を取り除くしかありません。苦味は消えません



