「なんか味がぼやける」「おいしいけど決まらない」——料理でいちばん多い悩みだと思います。
原因はたいてい塩です。しかも「足りない」ことのほうが圧倒的に多い。
塩は料理の中でいちばん強い調味料で、いちばん取り返しがつかないものでもあります。だからこそ、少しだけ知っておくと料理が変わります。
塩は「味」ではなく「スイッチ」
塩を入れると、しょっぱくなる——だけではありません。素材のもともとの味が、はっきり出るようになります。
トマトに塩をひとつまみ。すいかに塩。ゆで卵に塩。どれも「しょっぱくする」ためではなく、甘さや旨味を引き出すためにやっていることです。
だから「味が薄い」と感じたとき、足りないのは旨味ではなく塩のことが多いんです。
料理によって、ちょうどいい濃さは違います
人が「ちょうどいい」と感じる塩加減は、だいたい決まっています。目安として。
| 料理 | 目安 | 感じ方 |
| 汁物・スープ | うすめ | 飲みものなので、濃いと飲み進められません |
| おかず・炒め物 | ふつう | ごはんと一緒に食べる前提。単体で味見すると少し濃く感じるくらい |
| おつまみ・乾きもの | しっかりめ | 手でつまむものは濃くないと物足りない |
| つけダレ・ディップ | かなり濃いめ | つける量が少ないので、本体より濃く作る |
★同じ料理でも、一緒に何を食べるかで変わります。ごはんと食べるおかずは、それ単体で味見すると「ちょっと濃い」くらいがちょうどいい。逆に、それだけで食べるサラダは薄めで足ります。
塩は「後から」足す
これが一番大事な話です。
塩は入れたら取り除けません。薄いのは足せば直りますが、濃いのはほぼ手遅れです。
- レシピの分量より少なめから始める
- 味見をする。ひと口で判断せず、2〜3回味を見る
- 足りなければ、ひとつまみずつ足す
- ★味見は冷ましてから。熱いままだと塩気を感じにくく、必ず入れすぎます
先に入れたほうがいいものもあります
野菜から水を出したいとき(きゅうり・キャベツの塩もみ)や、肉の下味は先に入れます。目的が「味付け」ではなく「水を出す」「筋をほぐす」だからです。
★ただし炒め物で野菜に早く塩を振ると、水が出てべちゃっとします。炒め物の塩は最後です。
塩以外の「しょっぱいもの」を数に入れる
見落としやすいのがこれです。醤油・味噌・めんつゆ・コンソメ・ウスターソース・粉チーズ・塩昆布・ベーコン・ちくわ・漬物——全部、塩が入っています。
「レシピ通りに塩を入れたのにしょっぱい」というときは、だいたい他の材料の塩を数え忘れています。
うちの春巻きの皮チップスで「塩はひとつまみ」と書いているのも同じ理由です。皮と粉チーズがすでに塩気を持っているからです。
旨味があると、塩は少なくて済みます
★これは知っておくと得です。
だしや旨味がしっかりある料理は、塩が少なくても物足りなく感じません。逆に旨味が薄いと、塩をどれだけ足しても「しょっぱいだけ」になります。
「塩を足しても足しても決まらない」ときは、足りないのは塩ではなく旨味です。くわしくは旨味の教科書へ。
こうなっちゃうときは
- 味がぼやける……たいてい塩不足です。ひとつまみずつ足してみてください
- しょっぱくなった……味を直す教科書に直し方をまとめています
- 炒め物がべちゃっとする……塩を早く入れすぎです。最後に
- レシピ通りなのにしょっぱい……醤油・めんつゆ・チーズなど、他の材料の塩を数えてみてください



